労災保険は業務中や通勤中に発生したトラブルでのケガや病気に利用できる保険です。正社員だけでなく、アルバイトやパートを含む全労働者の方に適用され、診療から治療、休業の他、さまざまな給付金制度があります。労災を利用することで金銭面での安心につながるので、いずれの労働者の方においても労災時には利用すべきでしょう。
ただし、労災保険を利用する際には手続きが必要になります。必要な手続きができていないと別途手続きや変更手続きなど、労災を受けるまでに時間を要することになります。そのため、労災を利用する前にしっかり手順を確認しておく必要があります。
原則として申請は、労災に遭った労働者本人やその家族がするものですが、怪我や病気により申請できない場合や申請方法がわからない場合には雇用主でも代行できます。労働者、雇用主が行わなければならない手続きについてご紹介します。
まず、労災利用の手続きに必要な書類は労災給付の種類によって異なります。労災給付には8種類あり、それぞれの添付書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。中でも初診時に必要になるのが療養補償給付の書類で、重要なのが労災病院もしくは労災保険指定医療機関を受診することです。
これらの病院を受診することで労災利用がよりスムーズになり、自己負担なしで治療受けられます。労災保険指定医療機関を受診した場合、業務災害では「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」、通勤災害では「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」に必要項目を記入し、治療を受けた医療機関に提出します。
雇用主が代行する場合も、厚生労働省のホームページで必要書類をダウンロードして作成します。労働者の申請書類の証明欄への著名も必要です。作成した請求書は労働基準監督署へ提出します。
一般の病院で労災利用をする際は、各書類の様式が異なるので入手する際は注意してください。労働者の書類提出先は医療機関ではなく、労働基準監督署です。また、必要書類を提出し労災認定されるまでは、治療費を全額自己負担しなければなりません。さらに、療養費の請求には2年の時効があります。
このように、一般病院でも労災は利用できますが、手続きが複雑だったり時間がかかったりします。労災時はトラブルに遭った労働者の方はケガの衝撃に加え、精神的ショックも大きいです。労働者、雇用主ともに万が一に備え、受診できる医療機関を把握しておいたり、手続きの大まかな流れを確認しておきましょう。