「膝を曲げ伸ばしすると引っかかる」
「歩いていると膝に違和感がある」
「膝が急に動かなくなり、伸ばせなくなった」
このような症状がある場合、半月板損傷が原因となっている可能性があります。
半月板損傷は、スポーツをする若い方だけでなく、加齢に伴って膝の組織が変化した中高年の方にも起こる疾患です。膝の痛みだけでなく、引っかかり感やロッキングと呼ばれる症状が現れることもありmす。
今回は、半月板の役割から損傷の原因、代表的な症状、検査・治療法まで整形外科の視点から、2回にわけて解説します。
1.半月板とは?
半月板は、膝関節の中にある三日月状の線維軟骨組織です。大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にあり、膝の内側と外側にそれぞれ1つずつ存在します。
半月板には、主に次のような役割があります。
●衝撃を吸収する:歩行やランニング、ジャンプなどで膝に加わる衝撃を分散します。
●荷重を分散する:膝関節にかかる圧力を広い範囲に分散し、関節軟骨への負担を軽減します。
●関節を安定させる:大腿骨と脛骨の適合性を高め、膝関節の安定性に寄与します。
●関節の動きを滑らかにする:関節内の動きを補助し、膝の機能を支えます。
半月板は膝関節の機能を維持するうえで重要な組織です。そのため、損傷すると痛みや運動時の違和感が生じるだけでなく、損傷の程度や状態によっては関節軟骨への負担が増加することもあります。
2.半月板損傷の原因
半月板損傷は、大きく分けて外傷性のものと、加齢などによる変性を背景とするものがあります。
①スポーツや外傷による損傷
サッカー、バスケットボール、バレーボール、スキーなど、急な方向転換やストップ動作を伴うスポーツでは、半月板を損傷することがあります。
膝を曲げた状態で、足が地面に固定されたまま膝をひねる動作などが代表的です。前十字靱帯(ACL)損傷など、ほかの膝関節内の損傷を合併することがあります。
②加齢に伴う変性
中高年になると、半月板の水分量や組織の性状が変化し、以前より損傷しやすくなることがあります。
この場合、スポーツや転倒などの明らかな外傷がなくても、しゃがむ、立ち上がる、階段を昇り降りするといった日常的な動作をきっかけに症状が出ることがあります。
また、変性した半月板の損傷は、膝の変形性膝関節症を伴っている場合もあります。
3.半月板損傷でみられる代表的な症状
半月板損傷の症状は、損傷の部位や形状、程度によって異なります。
①膝の痛み
膝の内側または外側に痛みが出ることがあります。特に、深くしゃがむ動作や膝をひねる動作、階段の昇り降りなどで痛みが強くなることがあります。
ただし、痛みの場所や性質だけで、半月板損傷と断定することはできません。
②引っかかり感
膝を曲げ伸ばしした際に、途中で何かが挟まるような感覚や、動きが滑らかでない感覚が生じることがあります。
半月板の断裂片が関節内で動いたり、損傷した部位周囲の組織に影響したりすることで、このような症状が現れる場合があります。
ただし、膝の引っかかり感は半月板損傷に特有の症状ではなく、関節軟骨の障害や滑膜の病変などでも起こりえます。
③ロッキング
ロッキングとは、膝関節の動きが機械的に妨げられ、膝が一定の位置から動かせなくなる状態を指します。
例えば、膝を伸ばそうとしても途中で止まってしまい、完全に伸ばせなくなることがあります。
半月板の断裂片が関節の動きを妨げている場合などに生じ、バケツ柄断裂(半月板がバケツの柄のような形に断裂する)は代表的な原因の一つです。
ただし、痛みや筋肉の緊張によって膝を十分に伸ばせない場合もあり、すべてのロッキング様症状が機械的な閉塞によるものとは限りません。
急に膝が動かなくなった場合や、膝が伸びない状態が続く場合は、早めに整形外科を受診してください。無理に膝を伸ばしたり、何度もひねったりすることは避けましょう。
④膝の腫れ・水がたまる
損傷によって関節内に炎症が起こると、膝が腫れたり、関節液が増えて水がたまったりすることがあります。
受傷直後から強く腫れる場合には、半月板損傷だけでなく、靱帯損傷や骨の損傷なども考慮する必要があります。
ちなみに
「膝の水は抜いた方がいいのか?」
「膝の水を抜くとクセになるのか?」
という疑問をお持ちの方が多いようです。
結論から言うと、必ずしも抜かないといけないものではありません。
膝の水は医学用語で関節水腫といい、注射器で水を抜く処置を関節穿刺といいます。
急激に腫れて、痛みを伴っている場合や、曲げ伸ばしのしづらさに関係している場合は、抜いた方がらくになることが多いでしょう。
特別な症状がなく、原因が分かっている場合などは必ずしも抜く必要はありません。自然に減少していくことも多いからです。
つまり、症状がある場合や原因を調べたい場合に関節穿刺をして水を抜く必要があるのです。
今回は以上になります。
次回は、半月板損傷の診断や、治療について解説していきたいと思います。










