今回は前回に引き続き、半月板損傷について解説させていただきます。
4.半月板損傷はどのように診断する?
診断では、症状が出た状況や痛みの場所、膝の動きなどを詳しく確認します。
問診・診察
スポーツや外傷の有無、痛みが出る動作、腫れやロッキングの有無などを確認します。
診察では、関節裂隙部の圧痛や膝の可動域を評価し、必要に応じてマックマレーテストなどの誘発テストを行い診断の補助とします。
ただし、これらの診察所見だけで半月板損傷を確定したり、完全に否定したりすることはできません。
X線検査
レントゲン検査では、半月板そのものを直接評価することはできません。
一方で、骨折や変形性膝関節症の有無、関節裂隙の狭小化などを確認するために重要な検査です。
特に中高年の方では、変形性膝関節症などの併存疾患を評価するうえで役立ちます。
MRI検査
MRI検査は、半月板の損傷部位や断裂の形状、程度を評価するために有用です。前十字靱帯(ACL)などの靱帯や関節軟骨、骨の状態も確認できます。
ただし、MRIで半月板の変性や断裂が見つかっても、それが必ずしも現在の症状の原因とは限りません。特に中高年では、症状のない半月板損傷や変性所見がみられることも多く、診察所見と画像所見を統合して判断しないといけません。
5.半月板損傷の治療方法
治療は、年齢、症状、損傷の形状や部位、活動性、変形性膝関節症の有無などを踏まえて選択します。
保存療法
すべての半月板損傷で手術が必要になるわけではありません。
ロッキングなどの明らかな機械的症状がなく、症状や損傷の状態から保存療法が適切と判断される場合には、次のような治療を行います。
●痛みを誘発する動作やスポーツを一時的に調整する。
●必要に応じて消炎鎮痛剤などを使用する。
●大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングを行う
●膝の可動域や筋力、バランス気脳を改善するリハビリテーションを行う
症状が落ち着いてきたら、状態に応じて日常生活やスポーツへの復帰を進めます。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、損傷の形状、機械的なロッキングなどから手術が適切と判断される場合には、手術を検討します。
一般的には関節鏡を用いた手術が行われます。
●半月板縫合術
断裂の部位や形状などから修復が期待できる場合には、半月板を縫い合わせて温存する方法です。
半月板を残すことで、荷重の分散など本来の機能を維持できる可能性があります。一方、すべての断裂が縫合に適しているわけではなく、治癒まで一定の期間が必要です。
●半月板部分切除術
損傷した部分のうち、修復が難しい不安定な断裂片などを必要最小限に切除する方法です。
縫合が難しい損傷などで検討されますが、半月板を切除すると荷重を分散する機能が低下するため、可能な限り半月板を温存することが重要です。
なお、加齢などにより変性した半月板の断裂(変性半月板損傷)では、MRIで断裂が確認されたという理由だけで手術を行うわけではありません。2017年にBMJ(British Medical Journal)で公表された診療ガイドラインでは、変形性膝関節症や変性半月板損傷などの変性膝疾患に対し、関節鏡手術をルーティーンに行うことは推奨されていません。したがって、診察所見、変形性膝関節症の程度などを踏まえ、保存療法と手術療法の利点・欠点を検討することが重要です。
6.半月板損傷を疑ったら、無理をせず整形外科へ
膝の痛みや引っかかり感は、半月板損傷以外にも様々な原因で生じます。
特に注意したいのは、急に膝が伸びなくなった、膝が動かせなくなった、強い腫れが出た、といった状況です。このような場合には、自己判断で運動を続けたり、無理に膝を動かしたりせず、早めに医療機関を受診しましょう。
また、膝の痛みが長引いている場合や、繰り返し引っかかり感が生じる場合も、一度整形外科で評価を受けることをおすすめします。
半月板損傷は、損傷の状態や患者さんの生活背景によって適切な治療が異なります。診察や必要な検査を通じて原因を見極め、一人ひとりに合った治療方針を考えることが大切です。
膝の症状でお困りの方は、お気軽に整形外科にご相談ください。
以上、2回にわたり、半月板損傷について簡単な解説をさせていただきました。
少しでも病院を受診する際のご参考になれば幸いです。
次回は、半月板損傷の中でも少し特殊な「内側半月板後根断裂」について解説したいと思います。聞きなれない疾患とは思いますが、整形外科診療の中では重要な疾患です。50代以降の中高年の方に多い半月板損傷です。










