骨折っていつ治るの?
患者様によくこの質問を受けることがあります。
外せない予定があるので早く治してください!と。
お気持ちはすごくわかります。。。どうしても外せない予定ってありますよね。
しかしどんな最高の治療をしても骨折の治療には時間がかかるのも事実、それを理解してもらわなければいけません。ではどうやって骨折が治っていくのかをお話したいと思います。
骨折の治癒過程にはいくつかの段階があり、炎症期・修復期・リモデリング期の3つの段階があり、それぞれが重なりながら進みます。
炎症期
骨折直後から1~2週間続きます。この時期は骨折部より炎症反応がおこり、血腫というさまざまな成長因子を含んだ血液塊が形成されます。この成長因子が後に骨をくっつける細胞の増殖を促しますので、骨形成にとって非常に重要な時期になります。
修復期
骨折してから数日~数週間の間に起こり、骨芽細胞という骨を形成する細胞が増殖します。骨芽細胞はやがて軟骨組織となり、そして少しづつ強度の強い「仮骨」という仮の骨に置き換わっていきます。ギプスなどの固定はこの仮骨がレントゲンで目視できる段階で外せることが多いです。
リモデリング期
仮骨が強い骨に置き換わる時期で、これは数カ月から数年の期間を要します。
以上のように、骨折の治癒にはいくつもの段階があり、この段階を踏まずして骨はくっつかないのです。つまり、ひたすら待ってあげないといけないのです。さらに骨折部に動きが生じてしまうと骨癒合が起こらないので、骨が動かないようにしっかり固定する必要があります。中には固定をしても動いてしまう不安定な骨折もあり、その場合、外科手術の適応になります。また、血流も骨癒合にとって非常に重要な要素となっており、血流の悪い部位を骨折してしまうとこちらも最悪、外科手術しなくてはなりません。
骨折した部位によって骨癒合日数も様々で、大まかに示したグルトの骨癒合日数というものがあります。
グルトの骨癒合日数
指骨:2週間
中手骨:2週間
肋骨:3週間
鎖骨:4週間
前腕骨:5週間
上腕骨:6週間
腓骨:5週間
脛骨:7週間
下腿骨:8週間
大腿骨骨幹部:8週間
大腿骨頸部:12週間
※関節の近くや骨折線の走行によってはこの通りではなく、長期間固定しなくてはいけない場合もあります。
骨折は骨がくっつくのに時間がかかることをお判りいただけたでしょうか、固定を外した後は、弱った筋力を取り戻したり、硬まった関節を動かすリハビリが重要になります。骨折の治療は早期に始めるほど治りが良いので、もしお怪我をされた際は早めにお近くの整形外科に受診してください!